LAST Drip Designs
本ヌメ革専門店|ラストドリップデザインズ
研究室|革の百科事典
定義と工程で見る「言葉の構造」
“ヌメ革”という言葉は便利な反面、範囲が広く、同じ単語でも人によって指すものがずれがちです。
このページでは研究室として、本ヌメ革を起点に、工程・用語・呼び名の揺らぎを整理します。
※ここは商品紹介ではなく、素材理解のためのページです。
※各セクション末尾の「目次へ戻る」から戻れます。
このページで扱う「本ヌメ革」
本ヌメ革=植物タンニン鞣しのうえで、着色のための染料・顔料による染色を行わない革 ※ここでいう「染色しない」は、色を整える目的の着色を行わない、という意味で整理します。
※「無加工」と同義ではありません。仕上げ(表面処理)の有無や程度は革ごとに異なります。
※本ヌメ革は公的に統一された規格名ではなく、現場(タンナー・流通・作り手)で用法が揺れることがあります。
この“揺れ”が起きるのは、言葉が悪いのではなく、革が「工程」と「流通」の中で姿を変えていく素材だからです。
まずは、どこまでを一次加工と考えるか。そこから整理していきます。
植物タンニン鞣しの流れは、概ね次のような工程を経ます(※タンナーにより細部は異なります)。
研究室の見立て
一次加工(大枠)=「鞣しを終え、乾燥して安定した状態」まで 無染色の状態であれば、この段階が「本ヌメ革」の基準とされる位置に近いと考えられます。
※実際は厚み調整や水分調整など、各工程の組み合わせはタンナーごとに異なります。
一次加工後の革は、用途に応じて二次処理へ進みます。ここで登場するのが、工程語・用途語としての呼び名です。
| 生地 | 鞣しが終わった状態の革全般を指す工程語として使われることがあります。なめしの種類は問いません。 |
|---|---|
| クラスト | 鞣し後、最終仕上げ前の状態。染色や塗装前の中間段階を指すことが多い言葉です(なめしは限定しません)。 |
| タンロー | 植物タンニン鞣しの素上げで、染色を前提とした革を指すことが多い呼称です。無染色という点では本ヌメ革と近い存在ですが、用途の前提が異なる場合があります。 |
※同じ言葉でも、現場や流通の文脈によって範囲が変わることがあります。ここでは「どういう種類の言葉か(工程語/用途語)」を押さえるのがポイントです。
↑ 目次へ戻る「素上げ」という言葉も、よく使われます。一般的には、
素上げのイメージ(よくある説明)
ただし実務上は、軽い染料仕上げ・薄いトップコート・オイル加工などが施されていても「素上げ」と呼ばれる場合があります。
つまり、素上げもまた工程の一部を示す言葉であり、必ずしも“完全無加工”を意味するものではありません。
本ヌメ革という言葉と同様に、素上げも解釈に幅があります。
だからこそ研究室では、「言葉の響き」ではなく「工程として何をしているか」を手がかりに整理します。
一次加工後、用途や設計に応じて二次処理が施され、メーカーごとの名称を持つ革へと変わっていきます。
代表的な呼び名(例)
これらは主に、問屋やメーカーが設計・用途に応じて用いる呼称です。一般に知られる言葉ほど、流通・商品設計の文脈で広まりやすいのは自然なことだと考えています。
これらの用語は、法的定義・JIS規格・統一認証制度があるわけではなく、慣用語として運用されています。
さらに、流通の途中で二次加工(染色・表面処理など)が施されることもあるため、言葉と実際の工程が一致しない場合もあります。
また、販売流通の文脈では「本物のヌメ革」という意味合いで本ヌメ革と表記されるケースも見られます。
この場合、「無染色」という工程上の意味ではなく、品質や純度を強調する言葉として使われていることもあります。
つまり、本ヌメ革という言葉は、工程を示す場合と、価値を示す場合の両方で用いられる可能性がある、ということです。
↑ 目次へ戻る当社では、牛革・豚革・鹿革・馬革それぞれについて、
仕入れ時に確認していること
問屋名やタンナー名の公開は控えておりますが、言葉の響きではなく、工程を理解し、その意味を自覚したうえで「本ヌメ革」という表記を用いることを大切にしています。
本ヌメ革という言葉の揺らぎを前提に、私たちは基準を明確にし、共有していくブランドでありたいと考えています。

Views: 168
LAST Drip Designs
本ヌメ革専門店|ラストドリップデザインズ
CLOSE
close